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脳血管障害や変性疾患に伴いやすい症状

脳血管障害や変性疾患に伴いやすい症状。高齢者の幻覚。
幻視の頻度が高く臨床場面でしばしば遭遇します。
高齢者の精神症状の中で幻覚症状は頻繁に認められますが、特に幻視の頻度が高く、臨床場面でしばしば遭遇する病態です。
 幻視は脳血管障害や変性疾患に伴いやすく、幻聴が特徴である統合失調症と大きく異なっています。表1に高齢者において幻視を認める疾患および病態をまとめました。
表.1 高齢者において幻視をきたす病態
レビー小体型認知症
せん妄
シャルル・ボネ症候群(視力障害による幻視)
レビー小体型認知症
 レビー小体型認知症は、パーキンソン病で認められる神経細胞内異常構造物であるレビー小体が大脳皮質神経細胞にも多数認められる疾患であり、診断基準を表2に示しました。
 症状は記憶障害、失見当識などの認知機能障害が主ですが、パーキンソン症状と幻視を伴うことが多い点が特徴です。また症状の変動が激しいのも特徴です。
 幻視の症状は、「座敷で大勢の人が宴会をしている」「車の中でアジア系の外国人が寝ている」などのように具体的な描写であることが多いものです。
 診断には臨床症状のほかに脳血流シンチにおいて後頭葉の血流低下が認められること、MIBG心筋シンチにおいて取り込み低下が認められることが補助となります。心筋シンチで異常が認められるのは自律神経系の機能不全によると考えられます。
 治療としてはアルツハイマー病治療薬であるドネペジルが有効であり、幻視にはクエチアピンなどの非定型抗精神病薬の少量投与が有効ですが、どちらも今のところ保険適応外です。
表.2 レビー小体型認知症の診断基準
1.正常な社会的または職業的機能に障害をきたす程度の進行性認知機能障害の存在.初期には記憶障害がめだたないこともある.また、注意や前頭皮質機能や視空間機能の障害がとくにめだつこともある。
2.つぎの中核症状の2項目がある(1項目では“疑い”)
(a)注意力や意識清明度の変動
(b)鮮明な再発性幻視体験
(c)特発性のパーキンソニズム
3.DLBを示唆する特徴(中核1項目以上と示唆項目1以上でprobable)
(a)レム睡眠関連行動異常がある
(b)抗精神病薬に対する過敏性
(c)SPECT、PETにおいてみられる線状体へのドパミントランスポーター取り込み低下
4.支持する所見
(a)繰り返す転倒
(b)一過性の意識障害(一過性意識喪失)
(c)重篤な自律神経障害(起立性低血圧、尿失禁)
(d)幻視以外の幻覚
(e)系統的な妄想
(f)うつ状態
(g)CT・MRIにおいて側頭葉内側面が比較的保たれている
(h)SPECT/PETにおいて後頭葉の取り込み低下
(i)MIBG心筋シンチの取り込み低下
(j)脳波において側頭葉の徐波、棘波の出現
せん妄
 せん妄は変動をともなう意識障害と考えられます。高齢者ではアルコール症、他の疾患で服用している薬剤でによる誘発および身体疾患に伴って出現しやすいのが特徴です。外科領域では術後せん妄の頻度も高齢者では高くなります。
 せん妄においても幻視が頻繁に認められ、床に落ちているものを拾うような動作を繰り返したり、誰もいないところへ向かって呼びかけたりします。一旦発症すると治療・管理が困難な病態であるため、せん妄の発症が想定される病態や薬物使用中は注意深く経過観察し早期に治療を開始することが重要です。
シャルル・ボネ症候群
 シャルル・ボネ症候群は、白内障などの視力障害に特有な幻視のことをいいます。多発硬化症に伴う視神経炎に伴って出現することもあります。人の姿や情景的なものが見え、動きを伴っていることが多いのが特徴です。
 発現機序は不明ですが,感覚障害により外界からの刺激が遮断されたため幻覚が誘発されているのではないかと考えられています。自分では実存しないことがわかっていることが多く、不安・興奮を伴っていない場合は特に治療の必要はなく、そのまま様子をみます。精神症状を伴うときは少量の非定型抗精神病薬を用いることもあります。

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